東日本大震災

東日本大震災(ひがしにほんだいしんさい)は、2011年(平成23年)3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による災害およびこれに伴う福島第一原子力発電所事故による災害である[1]。大規模な地震災害であることから大震災と呼称される。

発生した日付から3.11(さんてんいちいち[2])、311(さんいちいち[3])と称することもある。

2011年(平成23年)3月11日(金曜日)14時46分18秒(日本時間)[4]、宮城県牡鹿半島の東南東沖130km(北緯38度06.2分、東経142度51.6分、深さ24km)を震源とする東北地方太平洋沖地震が発生した[5]。地震の規模はモーメントマグニチュード (Mw) 9.0で、発生時点において日本周辺における観測史上最大の地震である。震源域は広大で、岩手県沖から茨城県沖までの南北約500km、東西約200kmのおよそ10万km2に及ぶ[6][7]。最大震度は宮城県栗原市で観測された震度7で、宮城・福島・茨城・栃木の4県36市町村と仙台市内の1区で震度6強を観測した[8]。観測された最大加速度は宮城県栗原市のK-NET築館(MYG004)観測点で、2933ガル[9]。

発生当日(3月11日)の16時20分に気象庁が「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」(英: The 2011 off the Pacific coast of Tohoku Earthquake)と命名した[10]。これに対し、メディアや組織・団体は、「東日本大震災」や「東北関東大震災」などの呼称を任意に用いていた。

同年4月1日に、日本政府は持ち回り閣議で、当地震によってもたらされた災害(震災)を指す名称を「東日本大震災」とすることを了解し、菅直人内閣総理大臣平成23年度予算成立を受けての記者会見で発表した[11][12][13]。これ以降、地震そのものを指す「東北地方太平洋沖地震」と、それによってもたらされた災害を指す「東日本大震災」という二つの用語ができた。しかし地震そのものについて「東日本大震災」の名称を用いるメディアもある。

なお、政府による災害名統一以前に使用されていた、震災の主な名称として以下のものがある。「大震災」だけではなく、「大地震」や「巨大地震」も震災を指して使われていた。

東日本大震災」 - 朝日新聞[14]、時事通信社[15]、ウェザーニューズ[16]、共同通信社[17]、共同通信加盟社(産経新聞[18]、東京新聞[19]、中日新聞[20]、毎日新聞[21]、日本経済新聞(3月19日朝刊から)[22])、フジテレビ[23]、TBS[24]、テレビ朝日[25]、日本テレビ(3月25日から)[26]、テレビ東京[27]、TOKYO FM[28]、BS11デジタル
東北関東大震災」(とうほくかんとうだいしんさい) - NHK[29][30]、中央共同募金会[31]
「3.11大震災」(さんてんいちいちだいしんさい) - 河北新報東日本大震災と併用で3月14日から)[32]
「東北沖大地震」(とうほくおきだいじしん) - 毎日新聞地震当日から3月14日まで使用[33]
「東北・関東大地震」(とうほくかんとうだいじしん) - 共同通信社[34]、東京新聞[35] など加盟社が地震当日の3月11日(翌12日朝に配達された朝刊やWeb公開された記事を含む)に使用
「宮城・茨城沖大地震」(みやぎいばらきおきだいじしん) - 日テレNEWS24地震当日から3月12日まで使用[36][37]
東日本巨大地震」 (ひがしにほんきょだいじしん) - テレビ朝日地震発生直後から暫定的に使用)、読売新聞[38]
「東日本大地震」 (ひがしにほんだいじしん) - 日本テレビ地震当日から3月24日まで使用。TOKYO FMBS11デジタルも使用
「東北大震災」 (とうほくだいしんさい) - その他の一部メディアや個人が使用
閣議によって震災の名称が決定したので、日本赤十字社義援金受付口座名も変更された。

また、この震災で発生した津波に対して、地元紙を中心に一部で「平成三陸津波」の呼称を使用している[39][40][41]。しかし、政府など公的機関は名称を定めていない。

被害
この地震により、場所によっては波高10m以上、最大遡上高40.1mにも上る巨大な津波が発生し、東北地方と関東地方の太平洋沿岸部に壊滅的な被害が発生した[42][43]。また、巨大津波以外にも、地震の揺れや液状化現象、地盤沈下、ダムの決壊などによって、北海道南岸から東北を経て東京湾を含む関東南部に至る広大な範囲で被害が発生し、各種インフラ(人々の生活に必須な、いわゆるライフライン)が寸断された。

2018年(平成30年)3月9日時点で、震災による死者・行方不明者は1万8,434人、建築物の全壊・半壊は合わせて40万2,699戸[44] が公式に確認されている。震災発生直後のピーク時においては避難者は40万人以上、停電世帯は800万戸以上[45]、断水世帯は180万戸以上[46] 等の数値が報告されている。復興庁によると、2018年2月13日時点の避難者等の数は約7万3,000人となっており[47]、避難が長期化していることが特徴的である。

津波による浸水面積 - 561km2[48]
津波被害農地 - 2万1,476ha(宮城14,341、福島5,462、岩手725等)[49]
漁船被害 - 2万8,612隻
漁港被害 - 319港[要出典]
日本政府は震災による直接的な被害額を16兆円から25兆円と試算している[50]。この額は、被害が大きかった岩手・宮城・福島の3県の県内総生産の合計に匹敵する(阪神・淡路大震災では兵庫県1県の県内総生産の半分ほどであった)。世界銀行の推計では、自然災害による経済損失額としては史上1位としている。

警察庁は、2018年(平成30年)3月9日時点で、死者は1万5,895人、重軽傷者は6,156人、警察に届出があった行方不明者は2,539人であると発表している(ただし未確認情報を含む。余震によるものを含む)[44]。日本国内で起きた自然災害で死者・行方不明者の合計が1万人を超えたのは戦後初めてであり[51]、明治以降でも関東大震災、明治三陸地震に次ぐ被害規模であった[52]。岩手・宮城・福島の3県を中心に、1都1道10県で死者・行方不明者が、また1都1道18県で負傷者が発生した[44]。